●はじめに
アーティスト・SEIは、2005年4月から新しくART-LOGというページを立ち上げることになりました。今回の個展は、そのART-LOGを現実の空間の中に展開したものです。現在のネットの世界では、ウェブログやフォトログといった新しい表現が爆発的に広がっています。そこで私はWEBというメディアに最適な方法として、ART-LOGという形を提示できればと考えました。21世紀のアートもWEBという新しい道具に対して、本気で表現を模索する時期がきたと考えています。
●アートログの楽しみ方
では、このART-LOGをどのように楽しむかをご説明します。まず、ここでは作品がサークルとブロックに分けて並べられています。サークル、つまり円の中には、その日の出来事を文章とビジュアル作品で表現しています。ブロック(四角の枠)の中では、いくつかの作品をシャッフルして構成し、純粋に視覚のみの楽しさを表現する場としています。そして、すべての作品のベースは丸いサークルの中に納められています。それをここではアートによるログ(メモ)として考えました。
●アートログまでのプロセス
私は去年11月にNYに行きました。そこで感じた空気を、帰国後にA4のノートブックにまとめました。作品の展開として、私はまずWEB上での展開を考えていたので、A4サイズになったのは自然な成り行きだったと思います。
ネットの世界では、見知らぬ第三者が、私がWEB上に展開した作品に対して率直な感想を書き込んでいきました。顔が見えないことによる弊害ばかりが取りざたされているWEBの世界ですが、このようなストレートな意見交換は私の制作と作品の方向性に重要な影響を与えました。
もうひとつ、大きな刺激となったのはアクセス解析の情報でした。おおまかな国籍や都道府県別のアクセス数、ページごとの閲覧数、日別・時間別アクセス数、リンク元のサイト、検索キーワード、検索エンジン、ブラウザやOSの情報が入手できたのですが、すべてがどんな雑誌からも得られない貴重なデータでした。それはサイト構築の重要な手がかりになっただけでなく、リアルタイムでの作品の提示、豊富なバリエーションと圧倒的な量による作品の表現といった、現在の提示方法に結びつく直接的なキッカケとなったのです。
今回はネットというバーチャルな世界だけではなく、現実の空間とのリンク装置として、パソコンを空間のど真ん中に持ってくるという手法を考えました。鑑賞者はパソコンでSEI.COM(SEI
official HP)にアップされた作品を鑑賞しながら、現実化した個展会場の空間に身を置き、実物の作品とも対峙することになります。現実化したヴァーチャル、ヴァーチャル化した現実。それが同居するという交錯感が、今回の展示の重要なポイントといえるでしょう。そして、このパソコンが中心に位置している世界は、私たちが住んでいる世界そのものの表現でもあります。
●プロフィール
S42 4.5 高知県で生まれる。
東京造形大学造形学部デザイン科卒業。同大学研究科修了。
学生時代は映像制作を中心に活動。大学時代の映像制作の知人に「スウィングガールズ」の矢口史晴氏などがいる。その後は早稲田大学を中心とする東京学生映画祭実行委員などの活動や、ビデオ制作などを実施。以降、ギャラリーでの個展やWEB
EXHIBITで表現活動を重ねる。2000年頃からネットを通じてイギリスの学生や雑誌との交流が活発になる。それからはしばらくさまざまな職業を転々としながら、気が向けば放浪。ただ文章を書くだけの日々が続く。そして2003年頃から突然、顔だけの絵を数百点描き始めるように。2004年7月には住居を東京から神戸に移転。2004年11月のNY滞在をきっかけに、ノートブックという形式での表現を始め、2003年3月にART-LOGという表現に至る。
●個展履歴
「エドランフォドランプランセ」(GALLERY21+葉)TOKYO 1993
「エドランフォドランプランセ」(GALLERY21)TOKYO 1995
「THOUSAND OF KNIVES」(GALLERY-K)TOKYO 1997
「機関銃を抱えた幼児は エロティシズムの神になる」WEB EXHIBIT 1998
「機関銃を抱えた幼児は エロティシズムの神になる」(GALLERY-K)TOKYO 1999
「色情の幾何学」WEB EXHIBIT 1999
「性から性へと突き動かされるつかの間の微笑みを阻止するものはなにもないだろう」
ほか WEB EXHIBIT 2000 |